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第7回長良川カップ(2/11)

  • 執筆者の写真: Nushi
    Nushi
  • 2020年3月3日
  • 読了時間: 5分

諸事情により、半月ほど手をかけることができませんでした。当日の記憶も薄れつつあるため、簡単な事後報告という形で振り返ります。


2月11日(祝火)に、岐阜聖徳学園高校にて「第7回長良川カップ」が開催されました。

筆者は4年連続でこの大会の運営に携わっており、ジャッジ以外にも、最近では大会中に使用する即興論題の一部を提案するなどしております。


今大会では以下に掲げた12校26チームが参加しました。

岐阜県...岐阜聖徳, 長良, 大垣北, 可児, 美濃加茂

愛知県...南山女子, 岡崎

滋賀県...兄弟社, 虎姫, 守山

福井県...藤島

千葉県...翔凜


可児・美濃加茂・岡崎の3校は、大会初参加です。久々に岐阜県の参加校が増えた印象でした。

一方、愛知県では同日にHPDUの県予選が開催されていたため、東海高校などいくつかの学校は残念ながら参加を見送ることとなりました。


経験者部門には8チーム, 初心者部門には18チームが出場し、前半2試合は事前発表されていた論題で試合を行い、後半2試合は即興論題で試合を行いました。

なお、初心者部門はNorth American形式短縮版(5-5-3), 経験者部門はWSDC形式短縮版(5-5-5-4)とそれぞれに形式を分けております。前半2試合(初心者部門は3試合目含む)はあらかじめ対戦表を固定し、それ以降はパワーペアリングによる組み合わせです。


今大会で使用された論題は以下の通りです。


【事前発表論題(1・2試合目)】

Nuclear energy should be abandoned.

(原子力発電を禁止すべきである。)


【3試合目】

初心者:

Tobacco should be banned.

(タバコを禁止すべきである。)


経験者:

・Teacher's salary should be based on students' academic performance.

(教員の給料は生徒の学業成績に基づいて決定されるべきである。)

・Primary language of instruction for school education in developing countries should be English.

(発展途上国内の学校教育において指導に用いられる第1言語は、英語にすべきである。)

・Grade retention should be introduced in compulsory education.

(留年制度は、義務教育課程内に導入されるべきである。)


【4試合目】

初心者:

Students in secondary education should be allowed to choose teachers of each subject.

(中等教育課程の生徒は、各教科の教員を自ら選択することを認められるべきである。)


経験者:

・Selling organ for profit should be legalized.

(利益目的の臓器売買は、合法化されるべきである。)

・Alcohol should be banned.

(酒を禁止すべきである。)

・Tobacco should be banned.

(タバコを禁止すべきである。)


経験者部門の3・4試合目では、今大会初めての3 motion制で行われました。

経験者部門の生徒の多くは、大会が開催されるまでの間に<教育><自由・自己決定権>に関する分野の論題分析や練習を多く重ねてきていることを鑑み、各チームの得意な論題で試合をしてもらおうと考え、今回導入しました。


今大会の結果は以下の通りです。

【経験者部門】

優勝 藤島C, 準優勝 南山女子A, 3位 藤島B, 4位 藤島A

【初心者部門】

優勝 藤島D, 準優勝 翔凜, 3位 南山女子C, 4位 南山女子D, 5位 兄弟社


入賞された学校・チームの皆さま、おめでとうございます。


今大会ジャッジしている中で気づいた点、特に経験者に関して申しますと、かなり焦りながらスピーチをしているディベーターが目立ちました。具体的には、1つ1つの説明が早口になっており、かつその説明の理由を十分に言い終えられない・中途半端な状態のまま次の内容へ移っていることです。そのため、後半の着地点が見出せないまま終わり、勝敗判定に影響を与え難くしてしまうため非常にもったいないイシューが多く出てしまいました。

練習時に改めて自身のスピーチを録音し、スピーチ後に再生して自身の課題点を見つけ、それを克服していくと良いでしょう。また、試合本番も自分の番が回ってきたら、第一声を発する前に深呼吸するなど、身体的・精神的に落ち着いた状態で臨むようにすると良いでしょう。


加えてもう1点、相手チームが説明を見落とした点についてスピーチ中に指摘することについてです。この行為自体は一方では試合自体に効果的なものになり得ますが、しかしその一方ではあまり意味のない行為になってしまいます。今大会で目立ったこととして、試合前半(経験者部門でいう1st, 2nd Speech)の際には全く触れないまま進行していき、後半(3rd, Reply Speech)になってから急に新しく指摘・強調し始めることです。ジャッジは、試合全体で一貫して議論がなされてきたイシューについてを勝敗判定の材料にしていきます。そのため、相手チームが果たせていなかった立証責任の指摘はできるだけ早い時点で提示し、続く仲間のスピーチにも反映していくことが理想です。もちろん、試合後半から指摘すること自体はOKです。しかし、「なぜ今になって指摘し始めるのか?」「その指摘にどんな意義があるのか?」とまた新たな疑問点(≒ある種の立証責任)が付加されてしまい、結果的に勝敗判定に大きな影響を与えることは難しいです。

したがって、相手チームの説明不備・立証責任について指摘する場合は、早期段階から手を打つようにしておくように心がけるべきです。そして、後半から新たに追加していく指摘についてはあまり固執せず、その指摘以外の自他で重要なイシューについて比較や反論などを通して議論を深めていくと良いでしょう。




昨今の新型コロナウイルスが日本列島でも感染拡大し、2月後半より各種多くのイベントが中止・延期となってしまいました。本大会の開催以降、英語ディベート関連のイベントも次々と中止になっております。


大会や講習会への参加を楽しみにしている高校生ディベーターにとっては非常に残念なことでしょう。そんな状況下で、今回「第7回長良川カップ」が無事開催できたのは非常に幸運であったと考えます。


臨時休校によって、多くの中高生が自宅待機されているかと思われます。休校になっている今だからこそできること(勉強やディベートで扱われる分野の研究や分析など)をじっくり取り組み、休校明けの学校で、楽しくディベート活動が再開できることを祈ります。



今回の振り返りを執筆している時点で、HEnDAの新年度論題もついに決定しました。

新高校2年生が中心となって、12月の滋賀県開催の全国大会にむけて各校準備を進めていくことでしょう。頑張ってください。


また、私事でございますが、Twitterやホームページトップにも記載しました通り3月いっぱいまで大会・講習会等の参加といった活動はあまりできそうにありません。

新年度4月より、皆さま改めましてよろしくお願いいたします。

 
 
 

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